「ジョン・レノンの『ラヴ&ピース』を時代背景から考察する」
1960年代中期から後半にかけて、西洋社会はヒッピー・ムーブメントと連動した社会変革の波に洗われました。特に若者たちの間では、人種差別をはじめとする既成の権威や不平に対する闘いが展開され、これは現代でいう**リベラリズム(進歩主義)**の源流を形成しました。当然ながら、こうしたムーヴメントの根底には、ポピュラー音楽が深く関与していました。
ジョン・レノンの平和活動も、この反体制的な潮流の延長線上に位置づけられます。その活動は、オノ・ヨーコの存在によって、より先鋭的かつグローバルなものへと増幅されました。しかし、彼の非凡さは、そうした進歩的な思想を、知性的な洞察と芸術的な完成度をもってレコードという形で後世に残した点にあります。
時が経つにつれ、この時代の多くの活動家の功績やムーブメント自体は人々の記憶から薄れていきました。しかし、ジョン・レノンの音楽と芸術性だけが、その時代精神の象徴として残存したのが実情でしょう。
極論を言えば、これは彼の意図した結果ではないにせよ、ジョン・レノンという個人が、結果的に1960年代後半の進歩的な思想の集大成を自身の功績として引き受け、歴史的な**「聖人」の地位を確立したと言えます。彼をめぐるこの現象は、ムーヴメントの評価と個人の遺産との関係における、なんとも皮肉な構造**を私たちに示唆しているのではないでしょうか。
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