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(音楽で旅を味わう)ひと夏の恋の小説感 「Never Ending Summer」オメガトライブ

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  80年代中ごろは、日本経済が絶頂期を迎えており、そういった意味では人々の心がそう状態となり、結果として日常感を排したお洒落なJ-POPSという分野が出来上がったとも言えます。  杉山清貴&オメガトライブの名作「Never Ending Summer」。このアルバムの聴き所は、なんていってもB面の組曲で、メドレー形式のロングワン形式の大作です。そしてそれぞれの曲が物語調に繋がっており、なかなかの傑作です。    詩の内容は、浜辺で出会った2人が紆余曲折を重ねながら本当の愛に進化させていくもので、小説でもあり、ある意味、芸術的な要素も兼ね備えています。私が評価するのはこの点です。     1曲目:二人が出会って意気投合する。  2曲目:女のほうが過去の恋愛を引きずり二人の関係は立ち止まる。二人は一旦距離をおく。  3曲目:女のほうがそんな自分に後悔し男に手紙を送る。男はそれを暖かく受け入れる。   4曲目:紆余曲折はあったが、二人は本当の愛を築いていく。  この音楽は、海外のリゾートには合わない。この黄昏感の舞台は日本の海しか当てはまらない。日本のどこかの浜辺で夕日が差し込む頃に、この音楽をバックに浜辺を歩いたらなんとも言えない感傷に浸れるかもしれません。  

(音楽で旅を味わう)バブル期のカップル旅行のリゾート体験「小麦色のマーメイド」

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 松本隆の作った松田聖子の楽曲には日本の黄金時代をほうふつさせる光景が見え隠れしています。音楽はその時代の人々の思いを具現化したものであり、ある意味ファンタージ―な世界がそこにあります。そんな曲群を紹介します。 〇風立ちぬ  この曲を聴くと、日本でバブルの頃に流行ったリゾート地への淡い憧れを思い起こされます。軽井沢の街並みや高原にあるホテルなどがはまりそうな作品です、 〇白いパラソル  この曲は、私が追い求める南国のリゾートイメージはそのものです。なんかこういった曲を聴くと心が楽しくなります。松本隆はロングバケーションのジャケットから白いパラソルという題名を頂き。大滝詠一の「君は天然色」とディンギーの情景が重なり合っています。それでも松田聖子の歌唱力は大滝と同レベルでいいものです。 〇小麦色のマーメイド 80年代中頃から2000年前半まで日本円が強かったこともあり、海外で生活すると日本の生活費の半分以下でもそれなりに豪華な生活ができました。いい時代ですね。そんな雰囲気が充満しているような夏の雰囲気。後世になれば80年代後半は日本の歴史上特筆に幸せな時代であったと言われるでしょう。  今となっては、タイはおろか物価が圧倒的に安かったフィリピンでさえ日本の物価に近づいています、これに食べ物の旨さを加味すると日本にいたほうが安くておいしい料理をたくさん食べられます。時代の変化というのは残酷なものです。 〇セーシェルの夕陽  幻想的な南国の雰囲気をふんだんに盛り込んだ作品。若い女が一人でバンガローに泊まるなんて、その頃には絶対ありえない設定。バンガローの備え付けているハンモックから 赤く染まったセーシェルの夕陽を眺めて彼の事を思い手紙を出す。「風立ちぬ」に通じる文学性と優雅さ。    これら楽曲に共通するのは、メルヘンチックなリゾート描写。日本経済が明るかったことの証です。今このような世界は、一部の富裕層だけになってしまいました。日本人は、海外旅行にさえ夢を抱けなくなった寂しさがそこにあります。  そして、このころの歌にある根底は、女性の最後の就職先は「専業主婦」であり。頼りがいのダーリンと結婚する。なので、今と比べて、アイドル歌手の歌は非常に甘えた雰囲気のものが多い。  そういった意味では、バブルという日本の黄金時代の残像という音楽でもある。