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(音楽評論)野性味こそロックの醍醐味 佐野元春

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  労働者階級の報われない日常。そんな憤りを表現するのがロックンロールである。階級意識の小さい日本では。ホワイトカラーもブルーカラーも本人次第という側面は否定はできないが、佐野元春は間違いなく、米国の労働者階級の息吹を取り入れ、ストリート・ロックを作り上げた日本の第一人者であろう。   私の好きな佐野元春は、売れない頃の野性味のあふれた作品だけである。実際、人気が出始めてからは、音楽家的な広がりを求めて、野性味が消えていったのは残念である。ローリングストーンズ、日本では矢沢永吉のように 50 年以上もロックの持つ野性味を大切にしてきたのと違い。その後は中途半端になってしまった。ビートルズは多方面の音楽を吸収し成功させた。アルバムを出すごとに脱皮を繰り返し、そして解散した。ローリングストーンズは、ブルースと野性味を保つことに絞って。 50 年以上の世界の一線で活躍している。ビートルズは脱皮しすぎたために、脱皮が出来なくなる前に、自分たちが最高であるうちに店じまいした。結果として解散を速めてしまったのだ。そういう点では佐野元春は、ビートルズ的な音楽の展開を望んだのであろう。これは結果論であるが明らかに失敗であり、初期の音楽を保ち続ければ、ストリートロックの元祖であり、キングとして今の数倍高い評価をえられていたのは間違いない。   好きな曲名は  ナイアガラトライアングルで発表した4曲と、初期の集大成であるノーダメージの中のストリートロック色の強い曲だけである。これを上げれば、  ①ハッピーマン ②  So young ③ it's alright などであろう。 そして、「労働者階級の悲哀を感じさせる  ①情けない週末 ② heart beat まさに、ちょっと危なくも感じる野生児ロック。このような路線を維持し続けて欲しかった。  しかし、彼の雰囲気と容姿は、これら楽曲のようなワイルドさがなく、どちらかというと都会的なインテリさを漂わしている、そう考えると愚直に同じ路線を突き進むというには少し難しかったのかもしれない。