そこはかとなく漂う昭和感:オークスアーリーバード森の宮
大阪環状線
大阪環状線は東京でいう山手線のミニチェア版のようなものだ。大阪駅より5番目の駅が森ノ宮になる。近くには大阪城公園ということで緑豊かな場所のようだ。駅から降りてホテルまで向かうと、なんか昭和30年から40年に遡った雰囲気がそこはかとなく感じられ、古き良き昭和の風情漂う建物が散見された。その一つに森ノ宮スタンドという立ち飲みバーがあった。
私が酒を好きなら、太宰治の「人間失格」の一コマのように隣の客に何気ない話を持ち掛けてその場を楽しめるよう空間を十分に楽しめるのであろう。
大阪という街は、東京の次に位置する大都会であるが、東京にように街全体をスクラップアンドビルドはしていないようだ。だから近代的なビルと昭和の面影が混在している。これは私だけなのかもしれないが、東京近辺は昭和のドラマに出てくる情景が消えてしまった。こういうちょっとしたタイムスリップを楽しむのがなんとも心地が良い
オークスアーリーバード森の宮
そういった昭和感に浸りながら、ホテルに着いた。ホテルのロビーはなかなか良かった。しかし、エレベータに乗ると設備の古さが気にかかった。そして4階の客室ルームにいくと通路からやはり古さを感じた。部屋に入る。広さという点では申し分なく内装も悪くはないのだが、なんか古臭さは否めなかった。パンフレットにはアメリカンスタイルのビジネスホテルとかいてあったが、何がアメリカスタイルなのかは私には理解できなかった。
旅行好きなら、この後に外に出て、大阪城を見たり、近くの昭和感漂う一杯飲み屋で風情を味わったりしてその土地を堪能するものだが、私はホテルの部屋でのんびり自分の世界に浸ることを好んでしまう。さらに、その日は移動疲れのせいか、夕方4時にホテル到着してからはチェックアウトまでは部屋を出る気力すらなくなっていた。
北野武の映画「首」
部屋でスマホを眺めていると、北野武の最新映画の情報に偶然出くわした。最近、北野武を見ることはなかったが、この映画では時代劇を鋭い視点で描写していて、その視点の鋭さに感嘆した。北野武は織田信長やその周辺の人たちの本当の姿、いわば負の部分を描きたかったのであろう。戦国時代の大名は、歴史小説に書かれているような立派な人ではなく。非人道的な事を繰り返して這い上がってきた悪者でもある。とはいえ、秀吉と光秀が密談するとは考えにくい。信長に反旗を翻すことを匂わす資料は発見されていない。あくまでも北野武の想像の域に過ぎない。そんなことを考えているうちに眠たくなってきたのでそのまま眠ることにした。
朝のひと時
そして4時くらいに目が覚めて、ゆったりと浴槽に浸った。私はこの時間がとても好きだ。そしてまた5時から1時間30分ほどベッドで睡眠をとった。なんか、今回は本当に疲れを取るためのホテル籠りであった。朝食はコンビニで買ったパンを食べて身支度をして、チェックアウトした。ただ、名残惜しいのは4階の入り口にマッサージチェアーを使い忘れたことである。このマッサージチェアーで30分位は天国な時間を味わいたかった。チェックアウト時にエレベータ前で気が付いた。そう思いながら、昭和情緒を味わいながら森ノ宮駅に向かった。
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