マイケル・ジャクソンの功績を考える
(莫大な死後収入) “キング・オブ・ポップ”と称されるマイケル・ジャクソンの偉大さは、死後においても際立っている。生前は、死後収入ランキングの常連としてエルヴィス・プレスリーが1位を維持していたが、マイケルの死後は約10年間にわたり、常に1位または2位をキープし、年間1億ドル以上の収入を得ていた。近年では収入が5,000万ドル前後に落ち着くこともあるが、それでもエルヴィスを上回る水準を維持している。 ちなみに、ジョン・レノンはビートルズの印税を含めても年間1,000万〜2,000万ドル程度で推移していることを考えると、マイケルは死後においても圧倒的な存在感を放ち続けていると言える。 (アルバム面での評価) マイケルが発表したオリジナルアルバムは実質6枚だが、いずれも世界的なメガヒットを記録している。没後もその音楽は人々に忘れられることなく、継続的な収入を生み出している。エルヴィス・プレスリーと並び、アメリカを代表するアーティストであることは間違いない。 しかし、ローリングストーン誌が発表した歴代ベストアルバム(2020年)では、「Thriller」が12位、「Off the Wall」が36位、「Bad」が194位と、意外にも控えめな評価に留まっている。ビートルズが9枚、ボブ・ディランが8枚ランクインしていることを考えると、マイケルの評価は過小ではないかと感じられる。 「Dangerous」や「HIStory」は、ビートルズの「A Hard Day’s Night」や「Meet the Beatles」よりも芸術性に富み、完成度も高い。少なくとも「White Album」と同等の評価を受けても不思議ではないだろう。ただし、こうしたランキングは時代背景やリスナー層の変化に左右されるため、定性的な評価とは言い切れない。マイケルの作品がビートルズのように世代を超えて評価され続けるかどうかは、今後10年、20年の時間の経過を見なければ分からない。 (マイケル・ジャクソンの凄さ) マイケル・ジャクソンの凄さは、同一人物が手がけたとは思えないほど、アルバムごとに音楽性が大きく変化している点にある。彼はキャリアの中で三度の“脱皮”を遂げており、こうした変貌を成し遂げたのは、ビートルズを除けばほとんど例がない。 1970年代の『Off the Wall』は、当時のソウル・ミュージッ...