私たちの結婚(1962年)(欧米との著しい生活レベル格差の存在した時代)

 この映画は1960年前半の人々の庶民の生活をしることが出来る貴重な作品です。

(どんな正論を振りまいても世の中はお金である))

 映画では、浦安の海苔養殖業者の家を舞台に、工場勤務の美人の姉はとその妹を中心にストーリー展開していく。高度成長期の日本の工業化によって、浦安の海苔養殖業者は壊滅的な被害を受け、日々の生活もままならない。当然であるが、そういった生活は美人の姉に結婚観にも大きく影を落すことになる。はじめは同じ会社の工場勤務の好青年と付き合うが、高校時代の友人が、いわば西欧人専門に付き合い貢いでもらう事で、着る物、身に着けているものが高級品ばかりという生活を目のあたりにする。美人の姉は、お金のあることの意味を身につまされる。そこに縁談としてビジネスでちょっとした成功をした男との縁談が持ち上がる。親はその人に対し、お金はあっても人間としての品に疑問を持ち、縁談を反後にしようとするとが、美人の姉がお金のある生活を優先し、工場勤務との彼と別れ、貧乏でいることに逃げるように家で同然で小金持ちと結婚する

このストーリーはなかなかシビアです。清貧なんて言葉を説く人もいますが、世の中は金の魅力には勝てないのです。

そして、もう一つ注目すべき事は、1960年代の日本人と西欧人の立ち位置の違いです。1960年代の日本のGDPは、イギリスはフランスとはほぼ互角でした。しかし、一人当たりの生活水準という点では圧倒的な差があったことを示唆しています。ひと昔前には、圧倒的な給与水準の差がから、東南アジアの女性が日本人の男と結婚すると現地では中流以上の成果を謳歌できるようになる。そのため、日本人は容姿に関わらずモテた。これと同じようなことが、日本人と西欧人の間では起きていたということです。こういった事は、今となっては忘れ去られるだけではなく、後世の識者によって綺麗に脚色されて現実と乖離してしまう事が常である。これは当時の庶民の現実を知る上での相当貴重な資料です。

(時代の移り変わり)

この時代の女性は、結婚する相手で人生の全てを左右させれます。とはいえ、日本はこれから高度成長期、そしてバブル経済に向かって1億総中流時代に突き進んでいきます。1962年から27年後にジャパンアズナンバーワンとして日本の製造業は世界を席巻します。この職工はその時50才位であるなら、部長クラスにまで出世し、又は海外工場の責任者となっている可能性があります。そうなると海外在住期間中は、妻である美人の姉はアジアで貴婦人のような生活をおくれます。逆に問屋の男はその後の日本の産業構造不況の憂き目にあって没落したかもしれません。世の中にそういった落ちがあるのです。もしかしたら、主人公は結婚相手を間違っていたのかもしれません。

とがいえ、1962年ごろには日本が世界有数の金持ち国に昇り詰めるとは誰一人として想像出来ないでしょう。それが当たり前と思われた時代。

 日々の生活では感じとることは到底できませんが、数十年も経過すると世の中は下剋上を起こしているものです。そんな「人間万事塞翁が馬」のような事をこの映画から教えられます。

 
こういった映画をみていると、同時期に撮影された小林旭、石原裕次郎の映画の世界観はDisneyのような夢物語そのものです。


この時代は、二音

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