(音楽で旅を味わう)インテリでアダルト感漂う青年の都会生活を描写 「Realism」

インテリ感漂う眼鏡が似合う青年の日常。これがアルバムで描かれるイメージである。今でいうタワーマンションの最上階に住んでいるようなセレブ感。そして医学生なのか、何かの研究に打ち込む大学院生なのか、それとも知的な職業についている社会人なのか。この崎谷健次郎の「Realism」は、ある意味、インテリチックなセレブ感を漂う日常生活を堪能できる貴重な作品でもある。

 そして、昔前ならムード歌謡に属するのであろう甘いメロディは、80年代後半に米国で流行したアダルトでムーディーなR&Bソウルの流れを汲んでいる。この雰囲気がハイササエティな高級感を醸し出し、このようなAORを好む人にとってはまさに圧巻の作品になるだろう。


〇ハイソサエティな小説感

 これを小説感にすると、僕は東京大学法学部3年生。今は親が投資用に所有しているタワーマンションの最上階に一人で住んでいる。将来は、世界をまたがる弁護士を目指そうかと司法試験の準備をしている。彼女は、聖心女子大の同級生。お父さんは会社の社長という生粋のお嬢様で普通の人とはちょっとズレたところがある。趣味は絵を描くことと美術館巡り。僕も幻想的な絵を描くのが好きなので、僕のアトリエで二人一緒に絵を描いて過ごすこともすくなくない。疲れたら、銀座のオープンテラスなカフェで二人それぞれの世界に入り込んでいる。僕は最近、幻想的な絵が高じて、チベットへの長期旅行を計画している。彼女にその計画を話したら一緒に行ってくれるかな~・

 

 こんな感じでしょう。こんな作品はどう見てもバブル時代たからこそ描けた情景である。小説にしたら楽しいが、ハイサソエティ過ぎて大衆音楽にはなじめない。だからこのアルバムもスマッシュヒットにとどまった。そういった意味では、楽曲の質の高さをよそに、知る人ぞ知る作品にとどまっている。

〇アジアの富裕層の日常への転換 

インテリでそれなりの富裕層を志向しそうな人には打ってつけの作品である。ただ、この浮世離れな雰囲気に自身を投影するには、自身も浮世離れした環境に身を置ける必要がある。そんな境遇な人は、日本にどれだけいるのか。平等国家日本では数えるくらいしかいない。それより、中国や東南アジアの富裕層なら。このような浮世離れな富裕層は少なくない。上記小説もタイの富裕層の日本留学に置き換えたほうが今となってはしっくりいく。

〇才能の開花が中途半端

 崎谷健次郎は知る人が知る存在で。大衆に知れ渡った作品もない。才能の割にブレイクしなかった。正直言って、自分自身の持つ音楽の才能を売り上げが期待できるアイドルなどに提供し、音楽家としての知名度を上げる戦略をとったほうが正解だったのでは。本人名義で出すアルバムは、特定の層をターゲットにした作品に特化。売り上げはスマッシュヒットに留まっても、評論家からの評価は高く、知る人ぞ知る名盤として扱われる。才能を考えると非常のもったいないアーティストである。


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