昭和の香りとワイルドすぎる工藤俊作:探偵物語
伝説のドラマ探偵物語は、松田優作のハードボイルドなカッコ良さが売り物だ。しかし、私はこのドラマの昭和感が好きだ。今となっては見ることはできない昭和の情景がそこにある。
〇昭和の香りがする映像
松田優作の仕事場兼住居もなんかバラック的なアジトみたいでワイルドさ全開です。こういったバラック的な築60~70年の寂れた雑居ビルを舞台にするなかなか粋な演出です。どうも神田にある古い病院をロケ地としたようです。
1980年の東京と言えば十分に近代化されているのですが、所々に戦後から続くバラックな建物が多く残っているのが分ります。ドラマでもそういった生活感の漂うバラックの建物が使われています。
特に酒場でお酒飲む店もバラック的な雰囲気を漂わせています。今のドラマだと、同じ設定のバラックでも小奇麗なセットに変わって生活感がなくなっています。非常に寂しいものです。
参考
話は変わりますが、時代劇一つとっても、この頃までは大名の住む城も生活感がある映像でした。今の時代劇は映像が綺麗すぎて実態とかけ離れているように感じます。もっ、汚く現実的なセットにしてくれと言いたい。この前、勝慎太郎の座頭市を観ていたら、町人の服装、家、そして町並みが貧相に描かれていて現実感がありました。江戸時代の生活を等身大で描いているようで気持ちが良いものです。
〇闘争シーン
この頃のドラマは、反社会的勢力の人や刑事が拳銃を使うシーンが多くあります。殴り合いや暴力シーン少なくありません。歓楽街の女性と楽しく友達になっています。コールガールとかトルコ嬢。今では使われない懐かしい響きのような。そして彼女らの明るさも何とも言えません。今と比べおおらかな時代ですね。
〇工藤俊介がワイルドすぎる
でも、工藤俊介のようなアウトローな雰囲気と生き方はいつの時代も若者の心を掴んで放しません。そういう気ままなというと語弊がありますが、こころ赴くように生活する。人は何時の時代もいろいろな事に縛られて生活することが嫌なのでしょう。
そうは言っても、今のドラマで、こんなハードボイルドな設定ができるのかと言えば、答えはノーです。商売的に見れば、松田優作のワイルドさとしゃべり方では、お客が委縮してしまいます。商売をする限りにはお客には低姿勢でへりくだらないといけません。あとワイルドな容姿も然りです。服装や髪形だけでも相手を威圧してしまいそうです。さらに松田優作の喋り方。まさしく、電話を掛けて松田優作の低い声を聴いただけで、依頼主が怖くなって、他の探偵事務所に委託するでしょう。
〇松田優作は時代に合わせて変化
70年代の大人はワイルドを好んだのでしょう。この人の性格は非常に気性の荒い人であったとの証言が多いですが、この頃までの松田優作はこの性格を模したようなワイルドさでした。このドラマのあとにイメチェンし爽やかな髪型に変えます。この辺は恐らくですが、YMOのテクノカットブームで人々の志向が都会的な洗練さに向かったことも関係しているのでしょう。音楽も泥臭いフォーク系の音楽から、おしゃれなJPOPSサウンドが台頭してきます。松田優作もそれに合わせてちゃっかりと都会的な容姿にイメチェンを図っています。この辺の変わり身はワイルドなお茶目さんですね。
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