(ドラマ/映画であの時代にgo!)大学のスターも社会人になればただの人:若大将シリーズ

 若大将の大学シリーズは、青春時代の理想とも言うべきアメリカングラフティ的な陽気さが漂っていた。所々で歌を歌うシーンなどは、同時代のプレスリー映画の影響を受けています。ある意味、手に届きそうで届かないファンタジーがそこにあった、その時代の人々が夢見る理想的な青春像の光景だったのです。

 加山雄三が持っている上品さとスポーツ万能と、陽気な明るさ。そして田中邦衛の金持ちのドラ息子感がこの映画の魅力であったのは間違いない。彼等のキャラクターを十分に汲みした能天気な学園ストーリーはその当時の若者を憧れでもあった。

 


〇フレッシュ若大将の設定のお粗末さ

 しかし、フレッシュ若大将になると話は別になる。昭和40年代の日本は、専業主婦が当たり前の時代で、男の財力が女性にとっての頼りであった。そういう点からは、加山雄三の田沼雄一のように男らしいイケメンでかつ、テレビ放映されるような大舞台のスポーツイベントで活躍できる程のスポーツ万能で将来性のある大学生となれば、それはある意味多くの女性にとっても憧れの男性像でもあった。しかし、それがフレッシュマン若大将になると普通のしがないサラリーマンになってしまう。社会人版は間違いなくファンタジーな魅力に欠けてしまっている。



いきなり、王子のよう大学生が普通のサラリーマンになるのではトーンダウン感は否めず、逆に、青大将の方が、大企業の御曹司でいきなり幹部社員としての入社をするなど、ファンタジー感というか王子感が高いのだが、映画では青大将をひたすらコミカルに描いており、視聴者の共感にかけ離れた設定になっている。

 


〇若大将の魅力を最大限に引き出せなかった

若大将の魅力を最大限に引き出すには、「たのきゅう」の跡取りになり、「たのきゅう」をどんどん大きくしていくストーリーの方がはるかに視聴者にとって魅力的になる。今でいうIT企業の創業者のように。そして、大企業の御曹司である青大将とのつながり、そして星由里子の大人の魅力漂うヒロイン。この設定なら、多くの人を惹きつけたであろう。

 又は、サラリーマンでもスポーツ入社を強調し、そのスポーツで日本又は世界一になり、社長を含めた全社員から祝福を受けるようなストーリーでもよいような。

 そうなると、アルプスの若大将などは社会人設定での上映でも良かったのかもしれません。スイスのアルプスを舞台に、世界レベルのスキープレイアーであるのと同時に、大きな商談もこなす若大将。そしてヒロインの星由里子との恋愛。

 

〇大学卒業とともに「Dream is Over」

 しかし、加山雄三自体が、有能なビジネスマンを演じ切れかったことに俳優としての限界があった。映画と言えども、俳優は自分自身があたかも有能なビジネスマンであるかのように演じる必要があり、それは日々の私生活においても鍛錬しそんな雰囲気を自分の中に埋め込んで行く必要がある。その人の内面が演技に出るものだ。大学生の若大将は加山雄三自身をありのままに表現すれば良かった。しかし、ビジネスが舞台になるとその分野でファンタジーな夢を表現するだけの演技力に欠けていたのである。

加山雄三は、若大将シリーズ以外はさしたる当たり役がなく、大学時代の英雄のその後のイメージを確立できなかった。そういう面では加山雄三は、大学の若大将シリーズに始まり、若大将シリーズに終わったといって過言ではない。ちょっと厳しい言い方かもしれないが。。。。。

大学卒業とともに「Dream is Over」となってしまった。 

それでも、若大将ネタで一生に渡って大金を得る事ができたのですから、この映画の凄さと言うかファンの多さが分かります。

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