(音楽評論)バブル経済を先取りしたアルバム「ナイアガラトライアングルvo2」
1.バブルの先取り
大瀧詠一、佐野元春、杉真理が発表した1982年のオムニバスアルバム。
これが3者3様で傑作なんです。これが!
「A面で恋をして」や「ハート仕掛けのオレンジ」の世界観は都会的で
視覚的に表せば、わたせせいぞうの「ハートカクテル」やバブルのトレンディドラマの世界観の先取りしたような内容になっています。松本隆の詩のセンスが光りすぎです。
2.佐野元春のパート
都会のちょっとくすんだ若者を表現していて、松本隆とは違う若者が住む都会の世界観があります。「マンハッタンブリッジにたたずんで」や「週末の恋人たち」を聴いていると、主人公は、アルバイトでのんびりその日暮らしのようで、今でいうFIRE感もあり、現代にも通じる比較的等身大の都会の若者の気持ちをスマートに描いています。この曲を聴いてFire生活を楽しむこともできそうです。
3.杉真理のパート
ビートルズというより、オールディーズ的な雰囲気の作品が並びます。佐野元春がワイルド系若者なら、杉真理はベビーボイスで女性向けのメルヘンチックな世界感を構築するのが得意そうです。この両極感がこのアルバムの魅力でもあります。
4.大瀧詠一のパート
基本的にはロングバケーションを継承する楽曲群で、3曲とも佳作で非の打ちどころがありません。
しかし、詩の背景に出てくる主人公の年齢は前作より高めにしており、当時には珍しくアダルトな魅力を漂わしています。なんとも難い設定です。この辺になると、20代後半から田村正和などのおしゃれなオジサン像まで対象が拡がってきます。
「白い港」などは、ギリシャなど地中海のカフェで、港を観ながらかつての恋人を苦みばしりながら回想するシーンは圧巻としか言いようがありません。格好いいですね。もう単なる歌詞と言うよりドラマというか一つの小説になりそうな世界感です。
尚、この手の作風は次のEACH TIMEに引き継がれていきます。
5.3者3様の傑作
「3者3様」このアルバムの魅力はこれにつきます。(こんな考えは私だけかもしれませんが)。リスナーにとってはそれぞれの好みでこのアルバムを楽しむことができます。
あと、このアルバムは日本がバブルを先取りした側面も強いだけでなく、その世界観は今でも十分通用します。現在のアーテョスㇳの手で現代風にアレンジしたら、間違いなく多くの若者から好評を受けるでしょう。なので、私は、定期的にこの世界観に浸りたくなります。
コメント
コメントを投稿