(音楽で旅を味わう)地中海の夏の夜を妄想 「Another summer」オメガトライブ
1986年に杉山清貴&オメガトライブが大ヒットシングル「二人の夏物語」をひっさげて発表したアルバム。生活感のないジャケットがこの上なくおしゃれな感覚に引き込んでくれます。
1.海や都会をベースにした日本版AOR
正直に申しますと、彼らの音楽は、ジャケットほどのクオリティはありません。海や都会をベースにしながらも実態は歌謡曲的な要素が強い日本版AORです。しかし、このアルバムのサウンドの持つ透明感は、このジャケットと同様に洗練された響きを感じさせます。さらに、サックスの音色が所々で効果的な夏の情感を心地よく漂わせてくれます。歌詞もドロドロした感情表現がそれほどないので、比較的あっさりと聞き流すことができます。でも歌詞の世界は日本そのものでジャケットとの相違がちょっとありすぎという感じですが。
2.魅力的なジャケット
このアルバムの魅力はなんといっても高台からギリシャの漁港を映したアルバムジャケットです。素敵なジャケットです。地中海の特徴である白を基調とした漁港の上品な美しさには言葉がでません。こういった格調高き情景は、西欧文明の凄さであり、もの寂しさを漂わす日本の漁港と文化レベルの差を見せつけられます。
このジャケットのような高台のカフェでワインでも飲みながらゆったりとディナーを楽しみたいものです。でも、ここに住んでいる人はそれが日常なんです。なんとも羨ましい限りです。
3.バブルの残像
このアルバムはまさにバブルの残像です。今の日本では、このような生活感のないコンセプトの作品は場違いでしょう。それを支持するリスナー層も限られたものになるので商業的な成功すら出来ません。そういったこともあるので、このアルバムを今もって聴いているのは、その当時の大学生から中学生のファン層くらいでしょう。
しかし、この陶酔した情景こそ、私が追い求めている世界感です。そして、現実に向き合うのではなく躁感覚にさせるエレガントな情景こそ、私が日頃求めている音楽観なのです。
4.東南アジアのリゾート地で聴きたい
私にとってのこのアルバムはギリシャの港を楽しむ前に、東南アジアのリゾート地でちょっとしたホテルに宿泊し、ちょっとした生活感のないリゾートライフを謳歌することと重ねあわせたいです。ダナンなどのリゾート地でのホテルの朝。そういうのも最高ですね。そして、特に早朝のリゾートホテルで海を眺めながらこのアルバムを聴くのもよいでしょう。日本なら海の見える伊豆のリゾートホテルに数日籠りながら聴くのもよいのかもしれません。
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