(音楽で旅を味わう)東南アジアの無国籍都市間漂う名作 Down town Mystery 

1986年にカルロストシキ&オメガトライブが発表した楽曲。このアルバムは私にとって長年に渡るお気に入りのアルバムです。それは無国籍感が漂うサウンドに日本特有の歌謡曲が包み込んでいるところが私の心を離さない。

私は、このアルバムをリアルタイムに聴いているわけではなく、90年代に東南アジアを旅行した時の情景とこのアルバムの情景が合致したことからスタートする。私は西欧よりアジアが好きだ。なので、このアルバムに漂う無国籍のアジア感が私にとってのたまらない魅力となっている。それだけでなく六本木での無国籍感な猥雑さすら加味されている


2.無国籍感を漂わせるブラックコンテポラリーなサウンド

このアルバムは終始ブラックコンテンポラリーなサウンドに終始しているため、これが無国籍感を醸し出している。そうはいっても、メロディはズブズブの歌謡曲なので、西欧感はない。南国、特に東南アジアのような猥雑とした歓楽街が良く似合う。

ところが、このアルバムの世界観はアルバムジャケットでもわかるように、作り手はニューヨークなどの国際都市をイメージしている。このアルバムは当時の米国音楽界の最新トレンドを取り込んだおしゃれなアルバムに仕上げたかったのであろう。しかし、その頃の日本の作曲家はそこまでの西欧感を表現できない。というより歌謡曲風にしなければ商業的に成功しない。それが結果的に西欧感を全て相殺してしまった。

日本人がこのような無国籍な西欧感を商業的にも表現できるようになるのは、バブル景気により海外旅行が日常の一部に取り込まれてからである。実際、90年代半ばになると久保田利伸がニューヨーク感を漂わせるブラックコンテポラリーのPartyサウンドをリアルに表現するようになる。

3.爽快な遊び人感 

歌詞は、カルロスの個性まで落とした遊び人風の歌詞。あくまでもリゾートのイメージでいそうな軟派な優男。そこには一握りの生活感すらない。カルロスはそんな遊び人をギラギラ感がなく爽やかな人間像として表現している。それも東南アジアにでもいそうな遊び人として。

こういった雰囲気は、カルロスが遊び人ではなくブラジルの陽気な香りから発せられるものなのであろう。ラテン特有の明るさを日本語で表現しているだけに過ぎないのだが。ブラジル育ちのカルロストシキであるがゆえに表現できるのだ。

4.東南アジアでこの音楽を堪能したい。

しかし、こんな評価をしているのは私くらいであろう。私のこの感性は、私が東南アジアを旅行してことで得られたものである。ある意味非常にレアな感性である。

音楽は共感ビジネスであり、より多くの人に共感を得られた楽曲が生き残る。そうなるとこのアルバムは多くの人に聴きつがれる要素はない。なので、彼らの代表作は、より一般向けである「君は1000%」、「アクアマリンのままでいて」のような日本の夏をベースとした爽やかな情景を描いた作品に傾いてしまう。

私は、東南アジアの歓楽街の近くのホテルに滞在し、その歓楽街の夜景を見ながらこのアルバムを聴きたい。そして、実際に歓楽街に向かって、クラブでビールを飲みながらその場を楽しみたい。


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